発酵食品と豆は切っても切れない縁。 そこで、国内大豆生産量ダントツの北海道で、3代続く豆問屋さん「べにや長谷川商店」さん(遠軽町)を訪ねてきました。
べにや長谷川商店さんは昭和元年創業以来、北海道産の豆類を販売し特に在来種に力を入れている豆屋さんです。
在来種とは…
「在来種」は固定種とも呼ばれ、農家が「これは美味しいから」と自家採種をして代々つくられ続けてきたものになります。その年の天候などにより収穫量も味も均一とはいきませんが、厳しい自然淘汰を繰り返してきただけあって、滋味深い味、色、かたち、どれをとっても生命力に溢れています。
スーパーやホームセンターなどに並ぶ野菜や種などのほとんどは「F1品種」で「ハイブリッド」や「交配種」とも呼ばれます。作物の形やサイズを均一化でき、生育も早く、天候などの環境にも強いため、見た目も美しく、大量生産、安定供給が可能となります。
人口増加と共に安定供給が必要となり、価格も安い「F1品種」が主力(輸入品も)となりましたが、その分「在来種」が減り、同時に地方のベテラン農家や小さな種苗会社が培ってきた品種の育て方や種取りの技術や知恵も衰退の一途を辿っているといいます。(「豆図鑑/自由国民社」より抜粋)
味噌、醤油、豆腐にと、日本人にはなくてはならない大豆ですら国内自給率は食品用でたった20%ほどなのです(農水省HPより)。
そこで、べにや長谷川商店の3代目となる長谷川清美さんは、年々先細る生産量と生産者を守るべく、2001年には販路拡大のために「有限会社べにやビス」を横浜に設立。そこを拠点として料理教室、イベント運営、営業活動などの傍ら、「在来種の豆」を求めて世界を中飛び廻り、その数も現在日本を除き66カ国!
そして今や知る人ぞ知る豆博士。豆に関する本も数多く出版(下記)し、全国各地を奔走されています。
遠軽町にある「べにや長谷川商店」さんのコンパクトな店内には、広大な清美さんワールドが広がっています。 今現在(2023年5月)在庫にある豆は42種。ディスプレイされた豆たちは美しく宝石のように輝き、それを求めるアクセサリー作家さんもいらっしゃるほどです。
豆類の加工品や出版書籍もセンスよくティスプレイされています。
そして圧巻は世界地図と日本地図に貼られた豆ピンマーク!清美さんが実際に訪れた場所にそこの豆がマークされています。実際にはこの地図に貼るのが間に合わないところもまだまだあるそうです。
いったいそのエネルギーはどこから湧いているのだろうと思っていたら…ありました著書のあとがきに。
『その土地の在来種を掘り起こすという試みが、ほころびかけたさまざまな関係を修復し、もう一度立て直すという大きな役割を担っているともいえないだろうか。 在来種に秘められた未知なる可能性をわたしは信じたい。』
~長谷川清美著「豆図鑑(自由国民社)」あとがきより抜粋~
横浜に販売拠点を構える清美さんは関東を中心に、土日は各地のマルシェやイベントに出店されています。細い身体から溢れる豆パワーを感じにぜひ足を運んでみてください。
最後に店頭に置かれていたチラシ「おススメ豆レシピ」に載っていたレシピをひとつご紹介します。
甘酒豆じゃが
- 間作大豆・・・50g
- じゃがいも(縦横1/2)・・・4個
- 玉ねぎ(薄切り)・・・1個
- 人参(一口大)・・・1/2本(約100g)
- 干ししいたけ(1/4に切る)・・・2枚
- 生姜(千切り)・・・10g
- 甘酒・・・90g
- 味噌・・・大さじ3
- 酒・・・大さじ2
- だし汁・・・2カップ
- 塩・・・小さじ1/4(玉ねぎ炒め用)+調整用
- 醤油・・・大さじ1
- サラダ油・・・大さじ1
- 万能ネギ・・・適宣
- 豆を洗い、フライパンを熱し、弱火で10~15分炒める(表面がはじけてきたらOK)。
- フライパンに玉ねぎ、塩を入れ、甘みがでるまで炒めたら、人参、干ししいたけ、生姜、炒った豆、だし汁を加え、ひと煮立ちしたら10分弱火で煮る。
- じゃがいもを加え、酒、塩(少々)を加え、じゃがいもをやわらなくなるまで煮る。
- 味噌、醤油、甘酒を加え水分を飛ばしながら煮からめ、塩で味を整える。
~ 長谷川清美 著書 ~
- べにや長谷川商店の豆料理 / パルコ出版
- べにや長谷川商店の豆料理 海外編 / パルコ出版
- 豆くう人々 / 農山漁村文化協会
- 「バーミキュラ」で豆料理 / パルコエンタテインメント事業部
- 豆図鑑 / 自由国民社
- 日本の豆ハンドブック / 文一総合出版
~ お知らせ ~
2023年9月頃に長谷川清美さんのオンラインセミナーを予定していますのでご期待ください。
●べにや長谷川商店 北海道紋別郡遠軽町寿町2-14
TEL: 0158-46-3670
営業時間: 平日10時~16時(土日祝日休業)