2023年12月10日(日)、FCEAとして初めて、いくつかの目的を持って沖縄入りしました。
第1の目的は、11月には沖縄で第1号のFCEA認定加盟校が誕生し、その他約20名の受講生様がおられ、皆様との交流と今後の沖縄における「私の街の発酵料理士プロジェクト」推進のミーティングと交流会を行いました。
今後の講師活動のご予定のある方や既に飲食会社を経営し、地元の飲食関連の企業と様々な企画を推進中の方もおられ、将来が楽しみで胸躍るお話を沢山お伺いすることができました。お忙しい中、お集りいただきました沖縄在住の会員様、受講生様には厚くお礼申し上げます。
※このような交流会は既に数か所で開催しており、今後とも各地で継続していきますので、皆様とお会いできることを楽しみにしています。
第2の目的は、伝統的な製法を守る“玉那覇(タマナハ)味噌醤油”様への訪問取材です。
玉那覇味噌醤油様は、那覇市から車で20分ほどの首里城近くのやや高台にあります。
何と江戸末期に創業され当時は琉球王国の首里城にみそを納めていた非常に歴史的価値の高い味噌醤油蔵様です。
お話をお伺いしたのは80代後半にも関わらずダンディでスポーティな5代目代表取締役社長の玉那覇有紀様です。
最近まで地元テニス協会の会長をされておられました。
ご存知のように、沖縄には特別な歴史があります。
第2次大戦中、玉那覇社長は宮崎に疎開されたそうですが、1945年(昭和20年)には首里城が消失します。
そして終戦後は米国の統治下となり、1972年(昭和47年)には本土復帰しました。
復帰前までは味噌醸造屋は10件以上あったのが、復帰後は本土から安い商品を扱うメーカーの進出により、かつての味噌蔵が姿を消していき、現在では伝統的な製法の味噌蔵は玉那覇味噌醤油様のみとなりました。
(※泡盛は沖縄の主要産業ということで、国や県が産業を守ったので、数多くの酒蔵が残っているそうです。)
「戦前・戦後、そして復帰前・復帰後、時代に翻弄された苦労がありました。」と、玉那覇社長が感慨深くお話されたのが特に印象的でした。
原材料の大豆は現在県外から入れているが、今後は県内の大豆つくりを大学と研究中とのことです。
(※戦前は沖縄の大豆を使っていました。)
また、近年では和食が世界的に評価されてきたせいか、ヨーロッパ人のシェフが訪ねてきたり、アメリカのレストランにも輸出をしているとのことです。
事務所でお話を伺った後は、味噌工場を案内していただきました。
戦前からの建物のままで、天井は低くほとんど木造の壁がむき出しですが、いかにも有用な菌がたくさん棲みついているようでした。
作業工程により、様々な部屋割りがありましたが、従業員の方々が手際良くお仕事をされていました。
味噌蔵の神聖な場所ともいえる麹室も見学させていただきましたが、沖縄の温度と湿度が麹にとっても良い環境のようです。
味噌の種類は王朝みそ、特選みそ等があり、全て手作りで県内のリゾートホテル、量販店等はじめ東京都内の有名発酵ショップにも卸されています。
別れ際のお話で、今後FCEAの会員様の見学ツアーは「歓迎します」とおっしゃっていただきました。
玉那覇社長へこのたびの訪問を快く受け入れていただき、誠にありがとうございました。
玉那覇味噌醤油
沖縄県那覇市首里大中町1-41
TEL:098-884-1972
URL:http://www.tamanahamiso.co.jp/
代表者:玉那覇有紀 代表取締役社長
第3の目的は、EMウェルネス 暮らしの発酵ライフスタイルリゾートへの取材と宿泊体験です。
沖縄に発酵をテーマにしたホテルがあるのをご存知でしょうか!
まさにホテル全体が癒しと健康の発酵空間でした。
那覇空港から車で約40分程の中頭郡北中城村にあるリゾートホテルで、見晴らしが素晴らしく良く、東シナ海と太平洋を一望できる最高のロケーションです。
取材当日は副総支配人の前川様にお話しを伺いました。
まずはこのホテルの歴史を簡単にご紹介します。(※ホテルのHP参照:https://kurashinohakko.jp/)
「暮らしの発酵 ライフスタイルリゾート」は沖縄の本土復帰直前の1972年1月に「沖縄ヒルトン」として開業しました。
当時は沖縄No.1のホテルで、現在の沖縄のホテル業界のリーダーの大半は、このホテルで修業したとのこと。
1972年5月に沖縄が日本に返還され、その後、シェラトンホテルに替わり、1990年代始めのバブル期に別のグループに買収されましたが改装途中で倒産。そのまま10年以上放置され、巨大な幽霊ホテルとして週刊誌やテレビをにぎわせたようです。
そして、株式会社EM研究機構が2003年にホテルを引き受け、新たなコンセプトの元2005年に開業しました。
改装前は建物の劣化もひどかったようですが、沖縄にとっては文化財的な価値のあるこのホテルを 取り壊すのではなく、「EMウェルネスセンター」として蘇らせることになりました。
EM(有用微生物群)開発者である比嘉照夫教授の指導の元、建物全体の洗浄やコンクリート、道路の舗装や造園などありとあらゆるところに独自の微生物技術を駆使し、改修。その結果、ホテル全体が素晴らしい癒しの発酵空間へと生まれ変わりました。
館内に足を踏み入れたお客様からは「空気が違う」とたくさんの声をいただいています。
ホテルの食事は、直営農場「サンシャインファーム」の有機栽培野菜や平飼い卵等、地元食材を中心に、エネルギー溢れる新鮮食材を 発酵のチカラでさらにグレードアップしています。
農薬や化学肥料、除草剤などの化学物質に頼らない分、いたるところで微生物たちが大活躍。
さらに驚きは、農場とホテルの循環システムです。
ホテルでは日々大量の生ごみが出ます。それに加え、お客様の食べ残しやビュッフェの残り物も。それらの生ごみは、EM(有用微生物群)で発酵させ、農場の肥料や鶏舎の床材として利用されています。
―EMについて―
EMは、乳酸を出して、pHを下げて、腐敗菌を遠ざける「乳酸菌」、有機物を発酵分解して、他の微生物たちのエネルギーを生み出す「酵母」、有害な物質を食べて、抗酸化物質を作り出す「光合成細菌」が主体の微生物です。
また、当ホテルにはアロマセラピートリートメント等が受けられる「スパ」があり、ショップではホテルオリジナルのアロマグッズが販売されています。
今後は発酵料理士協会&日本アロマコーディネーター協会(発酵料理士協会の提携団体)のコラボイベントの開催を予定しています!
沖縄にお越しの際はぜひご利用ください!
EMウェルネス 暮らしの発酵ライフスタイルリゾート
沖縄県中頭郡北中城村喜舎場1478番地
TEL:098-935-1500 FAX:098-935-1600
URL:https://kurashinohakko.jp/
最後に
年末のご多忙にもかかわらず、ご丁寧に取材に応じていただきました前川様には心よりお礼申し上げます。
発酵料理士協会代表理事 木村 保司