蔵にお邪魔しました①角谷文治郎商店様編

発酵料理士協会の池田と申します。

今回は味醂と味噌のことでお聞きしたいことがあり愛知県三河地区にお邪魔してきました^_^

名誉講師の伏木暢顕先生もオンデマンド動画教材の中でおっしゃっていましたが、愛知県といえば発酵天国!

発酵蔵が多いということでしたので愛知県にしましたが、どこの蔵にお聞きするのが良いのかなと…

それならオンデマンド動画でも先生がお薦めしている蔵にお話を聞きに行くのが良いのでは!

ということでいくつかのお勧めの中から、味醂は 角谷文治郎商店様、味噌は中定商店様に連絡をしてお邪魔したい旨を伝えたところ、快諾いただきました^_^

東京から名古屋駅で下車し、レンタカーを借りて高速道路を使わずに約1時間半で到着しました^_^

愛知県碧南市にある明治43年(1910年)創業の老舗味醂メーカー、株式会社角谷文治郎(すみやぶんじろう)商店

角谷文治郎商店様の味醂は全国のスーパーなどでも購入できますので使われている方、又は、この味醂知ってるよ!という方も多いのではないでしょうか?^_^

質問の対応をしていただいたのは角谷文子さんでした^_^

5年ほど前に一度お会いしたことがあるだけでしたが丁寧に説明いただきました、ありがとうございました^_^

仕込みのこと、何故そうするのかなど、企業秘密だから言えない!ってことまで聞いてしまいました…

原料と伝統の造り方にこだわり、伝承の味と自然の美味しさを受け継ぎ、丁寧に造られた味醂は心温まる優しさを感じ、自然の素晴らしさを感じました^_^

有機味醂があるなんて素敵です^_^

味醂が日本に誕生したのは戦国時代のころだそうです。

お酒の中に「もち米」を仕込み、甘くて濃い酒を造る方法から、焼酎の中に「もち米」と「米麹」を仕込み、甘くて濃い酒を造る方法へと発展。

味醂は酒造りとは異なる製法ですが、精米・蒸し・麹作り・搾りと、ほとんど同じ道具を使うことから、酒造りと兼業で味醂を造る蔵が多かったそうです。

砂糖より入手しやすい甘味料であったことから、味醂は古くから調味料としても使われていました。

江戸時代になり、焼酎の割合の少ない「本みりん」、焼酎の割合の多い「本直し」と分けて造られるようになり、明治・大正には、下戸や女性に好まれる甘い滋養飲料や割烹調味料として、味醂の需要が高まりました。

しかし、戦中・戦後の米不足もあり伝統的な製法は許されず、昭和18年からの8年間は製造の禁止もあったそうです。

そして、贅沢品ということもあり、味醂には高額な酒税がかけられたことから、お米の代わりにぶどう糖や水あめといった副原料が使用され、製法も全く異なる「みりん風調味料」が生まれたそうです。

「みりん風調味料」って、スーパーに行くと調味料コーナーで見かけますよね^_^

愛知県三河地区は水が綺麗で温暖な気候ということもあり、お米の収穫量が多く、江戸時代から酒造りが盛んに行われてきました。

酒粕が容易に手に入ることから、それを熟成させて造る「粕酢」や酒粕を蒸留した「粕取り焼酎」が造られるようになりました。

この焼酎を用いてもち米と米麹を仕込んで造られるようになったのが、三河みりんの始まりです。

この地域は、大地の恵みが豊富であったことから、味噌・醤油・お酒・みりんの蔵が多くあります。ここまで醸造製品が集まっているのは愛知県だけです。

みりんはお酒を造っている蔵で造られることが多いのですが、この地域はみりん専業の蔵がほとんどで、現在でも、みりん業者数全国一を誇るみりん造りの本場だそうです。

あとは発酵見学ツアーの事や、三重県に昨年開設された蔵のこと(vison)など、色々と情報もいただけました^_^

三重県のvisonには角谷文治郎商店さんの味醂蔵だけではなく、味噌、酢、鰹節などの発酵蔵が並んでいるとのことでした^_^

東京ドーム24個分の敷地内に食祭広場、旨味広場、蔵前広場などがあり、一日で回り切るには大変な感じですがホテルも併設されているので泊まって見学を満喫して、伊勢神宮も近くなので観光も楽しめそうな所です^_^

受講生様との発酵蔵見学ツアーも今後計画していきますのでご一緒に発酵文化を楽しめたら良いなーと思います^_^

【もち米を甑(こしき)で蒸している様子】
【みりんもろみを櫂入れ(攪拌)している様子】
【瓶詰めの様子】